「試行錯誤する習慣」は受験に役立つ<受験当日篇>

 

さぁ受験当日、ハラハラ感いっぱいの中、試験が始まりました。

 

教科は算数。

 

「では、はじめ!」試験官の合図で、一斉に紙をめくる音が教室内に響きます。

 

10分経過。コツコツと鉛筆が机を叩く音のみ聞こえてきます。

 

20分経過、順調に問題を進めている受験生、ある問題にてこずっている受験生、ペースが分かれてきました。

 

「残り時間10分です」試験官が受験生に伝えます。

 

がっ、ある受験生は顔面蒼白。

 

「前半の問題で時間をとられすぎた。まだ大問が2問残っている」

 

まさにパニック直前。これまでの努力を無駄にしないためにも、冷静な判断をしていかねばなりません。

 

 さて、この後どう問題と向き合っていけばいいのか?

 

 いくつか方法が考えられます。

 

  1. 残りの問題全てを解答しようとする。

  2. 残りの大問のうち得意(解けそう)な方だけ解答する。

  3. 残りの大問の最初の問題(基本知識と基本処理で解ける問題)だけ解答する。

  4. 残りの問題には手を出さず、ミスが無いかすでに解いた問題を見直す。

 

こんな対応が考えられます。正解はどれでしょう?

 

4つのどれもが正解になりうるし、どれもが適切で無いとも言えます。例えば、①。算数で高得点を取ることが合格へのカギとなる生徒。つまり算数を得意とする生徒にとっては、残りの時間をかけて全問にあたるべきであると言えます。逆に算数はあまり得意ではなく、足をひっぱらない得点を取ることが必要な場合は、④が適切であると言えます。②であれば、ある分野、例えば図形問題は確実にとける受験生で、残りの問題のいずれかが図形問題である場合はそこに時間をかけるべきです。③は、算数は得意では無いけれども、基本的な知識が定着している受験生にとって適切な対応であると言えます。

 

こうしたことは、他の教科にも通じることです。受験生は、いわゆる極限状態の中、自己の的確な分析と選択をしなければなりません。

 

もちろん塾や学校などで、入試当日までに様々なケースへの対応の仕方を学ぶことでしょう。ただ、受験当日、問題用紙を目の前にした状態で、適切な対応を判断し行動に移すのは受験生本人です。あらゆる場面を想定し、誰かがマニュアル的なものを与えたとしても、受験生本人の意識の中に目の前に生じた問題を解決する能力が育っていなければ、適切な対応をとることは不可能です。

 

パニックになるような場面においてこそ、それまでに試行錯誤する習慣の中で身につけてきた問題を解決する力が問われるのです。